歯周病とタバコ

歯周病とタバコについて

喫煙が歯周炎に与える影響

タバコの煙には数千もの化学物質が含まれていて、そのうちニコチンや発癌性物質などの有害物質は200とも300とも言われます。そのタバコを吸うことは,肺がんのみならず多岐にわたり健康を損なうことが,明らかにされています。多くの研究や調査から、人種を問わず喫煙は歯周病の最大のリスクファクターとしての強い関連性が示されていて、喫煙者は非喫煙者に比べて 2 ~ 8 倍、歯周病に罹患しやすいことがわかっています。またある統計データによると、歯周病にかかる危険は1日10本以上喫煙すると5.4倍に、10年以上吸っていると4.3倍に上昇し、また重症化しやすくなります。なぜ歯周病と喫煙が関連しているのか以下の項目で説明していきます。

1. 免疫機能の低下

喫煙は体全体の免疫機能を低下させます。口の中の免疫機能も例外ではなく、白血球の働きが抑制されるため歯周病菌と戦う能力が弱まります。その結果、細菌が増殖しやすくなり、歯周炎が進行しやすくなります。

2. 歯肉への血流の減少

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させる作用があります。これにより、歯肉への血流が減少し、必要な栄養や酸素が届かなくなります。血流が悪くなると、歯肉の健康が損なわれ、治癒力が低下します。特に治癒については、歯周治療に対する治り方は喫煙者のほうが非喫煙者に比べ 低下していることが研究で示されています。さらに、重度の喫煙歴のある人でも、禁煙することで歯周病に対するリスクが低下することが知られています。

3. 口腔内環境の悪化

喫煙は口の中に酸素が行き届きにくくなります。歯周病細菌は酸素を嫌うため、喫煙をすることは細菌が繁殖しやすい環境を作ります。また、唾液の分泌が減少し、口腔内の自浄作用が低下します。これにより、口の中が乾燥し、細菌が増殖しやすくなります。

喫煙をやめることのメリット

1. 歯周炎の進行を抑制

喫煙をやめることで、免疫機能が回復し、歯周炎の進行が遅くなります。また、歯肉の血流が改善され、治癒力が向上します。

2. 口腔内の環境が改善

禁煙することで、酸素が口の中に取り入れられやすいので、歯周病菌の増殖を抑えることができます。

3. 全身の健康が向上

禁煙は口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも多くのメリットがあります。心臓病や肺がんなどのリスクも減少し、全体的な健康状態が向上します。